平成27年度税制改正で創設される「国外転出をする場合の譲渡所得等の特例」(以下、「出国時課税制度」とします。)が注目を集めています。「出国時課税制度」は税負担の回避に対抗するための制度であり、一般的には「EXIT TAX」などと呼ばれ、多くの先進国では既に同様の制度が導入されています。
創設される「出国時課税制度」では、1億円以上の有価証券等を有する居住者が国外転出する際に、その有価証券等の譲渡があったものとみなして所得税の課税がなされます(※)。この制度の対象とされる「国外転出」する居住者(国内に住所及び居所を有しないことになる居住者)には、国外への移住など恒久的に日本国外に居住することを目的として出国する者のみでなく、国外の関連会社への海外赴任等により一年以上国外に居住する者のように、一定期間の日本国外での居住を目的として出国する者も該当するとされているように考えられ、留意が必要です。
また、この制度の対象とされる「有価証券等」には、国債や地方債、株券や新株引受権等が該当することとされますが、株式についてみれば、上場株式だけではなく、非上場株式や外国株式も含まれる点も留意点とされます。
「出国時課税制度」は、今年(2017年)の7月1日以後の「国外転出」から適用されるとされており、制度の開始までに時間的な余裕がないことから制度の詳細に注目が集まっています。
(※)一定の手続を行うことにより納税猶予を受けることができます。