国際化が一層進展する中、国際的租税回避行為への対応を強化するためには、各国の税務当局間の協力が必要とされます。このため、G20 やOECDにおいても国際的な脱税及び租税回避行為に対処するための国際協力の必要性が強く検討されていることを踏まえ、我が国においても、租税条約等に基づいた外国の課税当局との情報交換が積極的に実施されています。
各国間にて締結される租税条約等には、国際的な脱税や租税回避に対処するために、両国間において情報交換を行うといった規定が盛り込まれています。このような租税条約等に基づく情報交換は①他方の国からの「要請に基づく情報交換」、②他方の国にとって有益と推測できる情報を一方の国が能動的に他方の国に提供する「自発的情報交換」、③利子や配当等の支払に関する情報を定期的に他方の国に提供する「自動的情報交換」の三つに分類されます。
我が国の租税条約等のネットワークは93カ国・地域(※1)にまで拡大しており、最近では、パナマ共和国との間においても租税情報交換協定について実質的な合意がなされています。また、平成27年度税制改正においては、国内に所在する金融機関から国税庁に、非居住者に係る金融口座情報を報告する制度が導入され、平成29年1月1日より施行されます。これにより収集された情報は自動的情報交換として関係国に提供されることになります(※2)。